【実践コラム】資金繰りが不安な局面で金融機関に伝える順番について

…現状と原因と資金使途を整理すると、ファイナンスは動きやすくなります。

前回は、資金繰りが悪化し始めたときは、原因を出口と滞留に分けて整理し、基準を割る前にファイナンスを組み立てる話をしました。

今回は、資金繰りが不安な局面で金融機関に何をどう伝えると動きやすいかを、実務として整理します。

金融機関との会話で大切なのは、希望額を先に伝えることではありません。
金融機関が判断できる順番で情報が並んでいることです。
順番が整うと、相談の場で論点が散らず、稟議も通りやすくなります。

最初に伝えるのは現状です。
直近の売上と利益の状況、現預金残高、借入金残高と毎月の返済額、この三点が揃うと、金融機関側は会社の現在地を把握できます。数字は細かく語る必要はなく、月次の概況として整理できていれば十分です。

次に、資金繰りが不安になった原因を伝えます。
原因は出口と滞留に分けると明確になります。
出口は支出と返済で、仕入れ、外注費、人件費、設備支払い、元本返済の増減を整理します。滞留は売掛金と在庫で、売掛金が増えたのか回収が遅れているのか、在庫が増えたのか滞留しているのかを切り分けます。原因が分解されていると、金融機関側の警戒感が下がります。

三つ目に、資金使途を明確にします。
資金使途が曖昧になると話は進みにくくなります。
資金繰りを支えるための運転資金であれば、何にいくら必要なのかを具体的に示します。仕入れの増加に対応するための資金なのか、入金までのつなぎ資金なのか、回収の遅れを埋めるための資金なのか、使途がはっきりしているほど話は進みやすくなります。

四つ目に、見通しを伝えます。
資金繰り表を前提に、どの月でキャッシュが薄くなるかを示します。
キャッシュポジションは最低でも月商一か月分以上という基準に対して、基準を割りそうな月がいつかを整理します。見通しがあると、金融機関側は実行時期と金額を検討しやすくなります。

最後に、こちらの打ち手を添えます。
回収条件や請求運用の見直し、在庫圧縮や仕入条件の調整、支出時期の分散、投資は資金使途に合わせてファイナンスを組むといった対応です。経営側でも手を打っている姿勢があると、融資は前向きに進みやすくなります。

資金繰りが不安な局面で避けたいのは、曖昧な相談です。
何に使う資金かがはっきりしない、なぜ足りないのかが整理されていない、いつまでに必要かが見えていない。こうした状態になると、金融機関は慎重になり、時間だけが過ぎます。

現状、原因、資金使途、見通し、打ち手。
この順番で準備して伝えると、相談は動きやすくなります。
ファイナンスは交渉術ではなく、整理で決まります。

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