【経営コラム】少ない人員で円滑に経営するための具体的な方法

…中小企業が目指すべき「人件費最適経営」(その2)

前回号の続きです。

現在、多くの中小企業が人手不足に直面しています。採用が難しく、人件費も上昇傾向にある中、「少ない人員でもしっかりと経営がまわる体制」をつくることが、持続的成長の鍵になります。単に「人を減らす」ことが目的ではありません。「少数精鋭」で高い生産性と効率性を実現するための戦略を、以下に整理してお伝えします。

■1.業務の棚卸とムダの徹底排除

まず着手すべきは、自社の業務全体の可視化です。全社員の業務を洗い出し、「本当に必要な仕事か」「もっと簡略化できないか」を精査しましょう。たとえば毎日行っている会議、紙の書類管理、手書き伝票など、慣習的に続けている非効率な作業は驚くほど多く見つかるはずです。

不要な業務を削減し、手間のかかる仕事をIT化・システム化するだけで、業務量は30%50%削減できる例もあります。

■2.デジタルツールの導入による効率化

小規模な組織ほど、デジタルツールの恩恵を大きく受けます。クラウド会計、オンライン勤怠管理、チャットやタスク管理ツール(SlackやNotionなど)を導入することで、時間と工数の削減が可能です。

たとえば、勤怠管理と給与計算を連動させることで、経理担当の月末処理が半減する。顧客管理(CRM)をクラウド化すれば、営業・事務間のやりとりの手間が減る。こうしたツール導入は、ITが苦手な企業にこそ、大きな効率化効果をもたらします。

■3.業務の標準化とマニュアル整備

属人化された業務が多い企業は、人が抜けたとたんに混乱します。そこで大切なのが「誰がやっても同じ品質でできる仕組み=標準化」です。作業手順を簡潔に言語化し、写真や動画つきのマニュアルを整備しておくことで、新人でもすぐに即戦力になります。

これはパートやアルバイトを活用する際にも有効で、人件費を抑えながら戦力化を図ることが可能になります。

■4.外注・業務委託の活用

「全部自社でやる」という考えは捨てるべきです。経理、採用、営業事務、Web管理などは、信頼できる外注先やフリーランスに任せることで、固定人件費を変動費化できます。外注と社内スタッフの役割分担を明確にし、内製すべき部分と外に出すべき部分を見極めることで、限られた人数でも機動的な経営が可能になります。

たとえば、繁忙期だけ受電業務をコールセンターに任せる、SNS更新を外部パートナーに任せるなど、コア業務に集中するための工夫を取り入れましょう。

■5.「自律型人材」の育成

少人数経営では「指示待ち人材」では回りません。一人ひとりが自分の役割を理解し、自律的に動ける組織文化が必要です。そのためには、「目的と全体像を共有する」「裁量を与える」「失敗を責めない」マネジメントが求められます。

毎週の短い全体ミーティングで情報を共有し、進捗を見える化することで、チーム内の連携や課題解決のスピードも向上します。

■まとめ

人手が増えれば経営がラクになる時代は終わりました。むしろ少数精鋭でスリムな経営を実現している企業こそ、利益率が高く、柔軟で強い会社です。無駄を省き、業務を可視化し、デジタルや外注をうまく使いながら、自律的に動く人材と共に、少人数でも機能する「仕組み経営」を目指してください。

それが、次世代の中小企業経営の理想形ではないでしょうか。


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