業績が(一時的に)悪化している企業様が、CSファンド保証を利用し、倒産回避資金を調達した事例を紹介します。

飲食店を複数店経営するA社は、長年堅調な業績を維持してきましたが、ある原因により足元の業績が急速に悪化しており、今期は赤字決算が免れない状況です。
社長様は、赤字店舗を閉鎖すべきか、リニューアルすべきかについて迷っておられました。
いずれにしても半年ほど様子を見てから決定したいが、店舗をリニューアルするのであれば借入が必要になります。その際に調達は可能かとの相談でした。
半年後には赤字決算が確定しているため、リニューアル資金の調達は簡単ではなくなります。
最悪の場合を想定して、半年後では無く、今、倒産回避資金を調達することを提案しました。

当事務所の提案に社長様は少し戸惑っておられました。理由は、「今すぐに資金が必要な訳では無いので、借入が無駄になってしまうのではないか。」という心配です。

論理的に考えてみます。

倒産回避資金を調達しなかった場合

【シナリオ1】
・半年後に業績が回復しリニューアルをする必要も無くなった。
  →楽観的なシナリオです。実現の保証はありません。

【シナリオ2】
・業績は回復しないがリニューアル資金は調達できた。
  →リニューアルすれば必ず業績が回復するという保証はありません。

【シナリオ3】
・業績が回復せずリニューアル資金も調達できなかった。
  →十分に考えられるシナリオです。この場合の選択肢は閉店のみです。
   資金的な余裕もないため、他店のてこ入れなど再建策を講じることもできません。
   一気に経営は悪化して最悪の場合は倒産です。

倒産回避資金を調達した場合

【シナリオ1】
・半年後に業績が回復しリニューアルをする必要が無くなった。
  →最高のシナリオです。但し金利が余分な費用となります。

【シナリオ2】
・業績は回復しないがリニューアル資金は調達できた。
  →リニューアルをしても業績が回復しない場合に倒産回避資金が役に立ちます。
   業績が回復すれば金利が余分な費用となります。

【シナリオ3】
・業績が回復せずリニューアル資金も調達できなかった。
  →倒産回避資金が役に立ちます。資金的には余裕がありますので、落ち着いて次の打ち手を考えることができます。

倒産回避資金を調達した場合、金利が無駄になる可能性がありますが、調達しない場合は最悪倒産です。A社の社長様もようやくご理解いただき、まず倒産回避資金を調達することにしました。
この様なケースで力を発揮するのがCSファンド保証です。

CSファンド保証とは、

保証協会が特定の金融機関と提携して用意している保証枠で、審査は過去2期分の決算書を基にスコアリングで行われます。足元の業績が加味されない点がポイントです。

A社のように足元が赤字かつ将来の悪化が懸念される場合でも、過去の業績が堅調であれば審査を通過することができます。
一般の審査では、足元の業績悪化を理由に断られる可能性があります。

A社はとりあえず最悪のケースに備えることが出来ました。半年後に状況を見極め、必要であればリニューアル資金の調達に挑戦する予定です。経営者は、第一に会社をつぶさない努力が必要です。

将来の見通しに少しでも不安があれば、すぐに対策を講じましょう。