…長期的視点で企業価値を高めるための実践的アプローチ
経営者の皆様は、日々「売上を上げなければ」「利益を出さなければ」と考えているのではないでしょうか。これは「PL脳」と呼ばれる思考パターンです。PLとは損益計算書のことで、売上や利益を示す大切な財務諸表です。しかし、PLだけにとらわれすぎると、思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。
■ PL脳の問題点
PL脳の最大の問題は、短期的な視点に陥りやすいことです。
- 売上至上主義:無理な値引きで売上を伸ばそうとし、利益率が下がる
- コスト削減偏重:将来への投資(研究開発や人材育成)を削り、長期的な競争力が低下する
- 借入を避ける:「無借金経営」にこだわり、成長のチャンスを逃す
これらは一時的にPLを良く見せますが、長期的には企業価値を損なう可能性があります。
■ PL脳からの脱却
では、どうすればPL脳から抜け出せるでしょうか?
- 長期的視点を持つ:5年後、10年後の自社の姿を描き、そこに向かって計画を立てましょう。
- キャッシュフローを重視する:利益は会計上の数字ですが、キャッシュは実際のお金の動きです。キャッシュフロー計算書を定期的にチェックしましょう。
- 投資を恐れない:新しい設備や技術、人材への投資は短期的にはコストになりますが、長期的な成長には不可欠です。
- バランスシート(BS)も見る:PLだけでなく、BSも確認しましょう。資産や負債の状況を把握することで、より総合的な経営判断ができます。
- 非財務指標も重視する:顧客満足度や従業員のモチベーションなど、数字に表れない要素も企業の価値を左右します。
■ 金融機関の理解を得るために
PL脳から脱却しようとすると、一時的にPLが悪化する可能性があります。そのとき、金融機関の理解を得るのが難しいと感じるかもしれません。しかし、多くの金融機関も企業の長期的な成長を支援したいと考えていますので、以下のポイントを押さえて、金融機関とコミュニケーションを取りましょう。
- 事業計画を明確に:なぜその投資が必要か、どのような成果を期待しているかを具体的に説明しましょう。
- 定期的な報告:計画の進捗状況を定期的に報告し、信頼関係を築きましょう。
- キャッシュフロー重視:PLだけでなく、キャッシュフローの見通しも示しましょう。
- 業界動向の共有:自社の取り組みが業界トレンドに沿っていることを説明しましょう。
PL脳から脱却し、長期的な視点で経営することは、決して難しいことではありません。日々の小さな意識の変化から始めてはいかがでしょうか。そうすることで、自社の真の価値を高め、持続的な成長への道を切り開くことができると思います。
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