…実務指針を活用して具体的な収益改善策を探りましょう。
2022年12月に中小企業庁が策定した「収益力改善支援に関する実務指針」をご存知でしょうか。
中小企業の収益力向上は、経済活動の活性化や地域の発展に直結する重要な課題です。この指針はその課題に対処するための具体的な手法やアプローチについてまとめられています。
※収益力改善支援に関する実務指針
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/shuuekiryokukaizen/shishin.pdf
以下は、中小企業庁HPから抜粋した指針の概要です。
■実務指針の狙いと運用方針
- 中小企業を取り巻く環境が激変する中、本源的な収益力の改善に向けた取組や、思い切った事業展開を行うためのガバナンス体制の整備が必要。
- 収益力改善やガバナンス体制整備の際に、経営者と支援者の対話に活用し、互いの目線合わせや信頼関係の構築につなげることを目的としている。
- 経営改善計画策定支援事業(405事業・ポスコロ事業)については、認定経営革新等支援機関が本実務指針に沿った支援を行うことを求める。
■収益力改善支援の実務と着眼点
- 支援ニーズの掘り起こし:
経営者向けと支援者向けの経営状況チェックリストを活用し、経営者と支援者が互いの視点から、収益力改善のニーズを早期に把握します。 - 支援者による相談対応:
対話と傾聴を基本姿勢に、ローカルベンチマークや経営デザインシートなどを活用しながら、経営者が納得できる取り組みを共に模索します。
経営課題の多様化や高度化に対応するため、よろず支援拠点なども活用しつつ、幅広い支援者と早い段階で連携します。 - 計画策定支援:
1)現状分析:ローカルベンチマークなどを活用して、財務、商流、業務フロー、内外の経営環境などを分析します。
2)経営課題の明確化:現状分析を踏まえて、課題を明確化し、経営者の理想の姿を実現するための動機付けを行います。
3)課題解決策の検討:効率的で実行可能な解決策を検討します。
4)アクションプランの策定:具体的な行動計画を策定します。
5)数値計画の策定:アクションプランの効果を踏まえて、数値化した見通しを立てます。
6)資金繰りの検討:資金収支の予測と過不足への対策を検討します。
7)金融支援内容の検討:金融機関と情報共有を行いながら、金融支援の必要性や返済計画などを理解し、検討します。
■伴走支援の実務と着眼点
- 進捗確認:
数値計画と実績の差異を多角的に確認(財務指標を活用しつつ、背景や要因等を含めて確認) - 取組状況の確認:
アクションプラン等の取組状況を確認(内部統制や人員体制等、数値以外の変化にも着目) - 対応策の検討と事業者へのアドバイス:
計画の進捗状況の原因を分析し対応策を検討(経営者が、計画に固執せず柔軟に取り組めるよう後押し) - 報告支援:
計画進捗状況等を整理し、金融機関等のステークホルダーと報告(共有) - 計画の見直しとPDCAサイクルの構築:
取組を一過性のものとせず、課題設定→計画策定→実行→検証・見直しのPDCAサイクルの構築を支援
この指針は中小企業の経営者や経営支援機関が具体的なアクションを起こす際の参考となるだけでなく、政府や地方自治体が中小企業を支援するための政策や施策の策定にも活用されます。これにより、中小企業が収益力を向上させるための支援が強化され、地域経済や産業の発展に貢献することが期待されています。
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