…基本的に融資は受けられないと考えましょう。
ある企業様からの相談事例です。事業再構築補助金の採択を受けたものの、メインの金融機関から融資を断られたそうです。
社長様の主張は以下のとおりです。
- 担当者は(融資は)大丈夫だと言った。
- なので、既に工事を発注している。
- 工事が遅れているだけで損害なのに、新規事業を取りやめとなったら、もっと大きな損害を被ることになる。
- 資金計画や事業計画に無理があると言われたが、そもそも国の認定を受けた事業である。融資を断っていいのか。
国の認定を受けた事業なので、当然融資を受けられると思っており、融資を出さないのは、意地悪、嫌われているとも感じていらっしゃる様子でした。
しかし、決算書を見れば、原因は「赤字債務超過」であることが分かります。金融機関の初動や態度に問題があったかもしれませんが、決して意地悪ではありません。
赤字債務超過は、経営上はもちろん、金融機関から見ても大きな問題です。一度赤字債務超過に陥ると、金融機関からは融資を受けられなくなるという覚悟・達観が必要です。
少なくない経営者様が、赤字債務超過の重大さを理解していないように感じます。それは、赤字債務超過でも融資を受けられることがあるためです。
日本公庫やコロナ融資など、国の政策によって、赤字債務超過でも融資を受けられることがありますが、これはイレギュラーです。当たり前と捉えない方が安全です。
前述の社長様は、メイン以外の金融機関にも全て断られたそうですが、それでも融資をしてくれる金融機関を諦めずに探し続けるとおっしゃっていました。もちろん、信じて調達先を探すことは尊重しますが、事業再構築補助金は、国の制度と言っても、金融機関の融資を国が保証している訳ではありません。やはり、赤字債務超過の状態では、認定を受けているからという理由だけで融資を受けるのは難しいと考えます。
赤字債務超過になると、基本的には融資審査は通らないという認識を持ちましょう。そして、赤字債務超過に陥ってから資金調達にジタバタするのではなく、赤字債務超過に陥らないようジタバタしてください。