【実践コラム】資金繰り表は何のために作るのかについて

…過去を記録する資料ではなく、先のキャッシュを見るための道具です。

8月は、資金繰り表と管理資料の作り方をテーマにお話ししていきます。

前回、借入を検討するときに確認する四つの順番をお伝えしましたが、二つ目にあたる「返済後に手元資金がどこまで残るか」は、資金繰り表がなければ確認できません。

まず押さえておきたいのは、資金繰り表は試算表や決算書とは役割が違うという点です。試算表は、すでに起きた取引を集計した資料です。今月いくら売れて、いくら利益が出たかを教えてくれますが、来月以降にお金が足りるかどうかは教えてくれません。

資金繰り表は逆で、これから起きる入金と出金を並べ、先の残高を見るための資料です。過去を記録するのではなく、将来の谷を先に見つけるために作ります。

損益と資金が一致しないことは、これまでも繰り返しお伝えしてきました。借入金の元本返済は損益計算書に出ませんし、売掛金が増えれば利益は出ていても現金は入ってきません。在庫の仕入れ、設備の支払い、納税も同じです。損益では見えない動きを拾うために、資金繰り表という別の資料が必要になります。

作り方そのものは、実はそれほど複雑ではありません。月初の残高に、その月の入金を足し、出金を引く。残った金額が月末残高になり、翌月の月初残高になる。基本の形はこれだけです。多くの会社がつまずくのは、最初から精緻に作ろうとして、項目を細かく分けすぎ、更新が続かなくなる点にあります。

最初の一枚は、六か月先まで、大きな項目だけで十分です。入金は売上の回収と借入の実行、出金は仕入れ、人件費、その他の固定費、借入返済、納税、設備の支払い。この程度の粗さでも、どの月に残高が一番薄くなるかは見えてきます。細かさよりも、毎月更新し続けられるかどうかの方がはるかに重要です。

そして、資金繰り表で本当に見るべきなのは、月々の入出金の細かい数字ではなく、残高の推移です。半年先まで並べたときに、右肩下がりになっていないか。一番薄くなる月はいつで、そのときいくら残るのか。ここが見えていれば、借入の相談も、支払いの調整も、余裕を持って動けます。

来月の残高が見えていない状態で経営判断をするのは、燃料計を見ずに長距離を走るようなものです。8月は、まず一枚の資金繰り表を手元に置くところから始めていきましょう。

次回は、資金繰り表の具体的な項目の立て方と、予定と実績のズレをどう扱うかについてお話しします。


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