…借入は増やすか減らすかではなく、決める順番を持つことが大切です。
7月は、借入金との付き合い方をテーマにお話ししてきました。
前向きに活用する考え方、返済額の見方、借換のタイミング、そして中東情勢を踏まえた公的支援策と、それぞれ別の角度から整理してきましたが、最後にお伝えしたいのは、借入を検討する場面では、毎回同じ順番で確認できる形にしておくことです。判断が場当たりにならず、金融機関との会話も整います。
一つ目は、資金使途です。何のために必要な資金なのかを、設備、運転、納税といった形で言葉にします。使途が言葉になっていれば、借りるべき金額も期間も自ずと決まってきます。反対に使途を言葉にできない場合、その借入はまだ検討の段階にないと考えた方が安全です。
二つ目は、返済後のキャッシュポジションです。借入額ではなく、毎月の返済を織り込んだ後に手元資金がどこまで残るかを資金繰り表で見ます。月商一か月分以上という基準を割る月が出てくるようであれば、借り方そのものを見直します。
三つ目は、返済期間と回収期間の対応です。設備であれば効果が出るまでの期間、運転資金であれば売掛金や在庫が現金に戻るまでの期間に対して、返済期間が短すぎないかを確認します。ここがずれていると、事業が回っていても資金繰りだけが苦しくなります。
四つ目は、本業側の原因です。粗利率が下がっている、売掛金の回収が遅れている、在庫が滞留している。こうした状態を放置したまま借入で埋めても、資金繰りの根本改善にはなりません。借入は、本業の改善とセットで初めて効果を持ちます。
四つの順番には意味があります。使途が決まらないうちに金額を考えると話が散り、返済後の残高を見ないまま期間を決めると後で苦しくなり、本業の原因を最後に置くことで、借入が対症療法で終わっていないかを確認できます。逆に言えば、順番どおりに確認できていれば、借入額が大きいか小さいかは本質的な問題ではなくなります。
7月のまとめとして、社長に意識していただきたいのは一つです。借入を増やすか減らすかではなく、決める順番を持つこと。使途、返済後の残高、期間、本業の原因。この四つを毎回同じ順で確認する会社は、環境が変わっても資金繰りが崩れにくくなります。
次回からは8月のテーマとして、資金繰り表と管理資料の作り方についてお話ししていきます。今回の二つ目にあたる「返済後の残高を見る」作業は、資金繰り表がなければできません。
8月は、その土台をつくる月にしていきます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会正会員事務所である当事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。
○銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、『貴社の財務部長代行』を廉価でお引き受けいたします。
○音声・パワーポイントレジュメ付の誌上無料セミナー(20分)をご視聴ください。
【創業~中小零細企業経営者が押さえておくべき銀行取引の基本ルール10!と3つの事例!】
…借り手の論理ではなく貸し手の論理で!雨傘理論ではなく日傘理論で!
https://youtu.be/74QoKmoljcc