【実践コラム】投資を検討するときに最初に整理したいことについて

…やりたい投資の前に、会社が守るべき現金の基準を確認します。

四月は、投資判断と資金配分をテーマにお話ししていきます。

設備投資、人材投資、広告投資など、投資は会社の成長に欠かせません。一方で、投資の判断を誤ると、利益が出ていても資金繰りが苦しくなります。

投資を検討するときに最初に整理したいのは、投資の内容そのものよりも、現金の基準です。最低でも月商一か月分以上のキャッシュを維持する。この基準を前提に置くと、投資判断はぶれにくくなります。

投資の相談でよくあるのは、投資額の妥当性ばかりを議論してしまうことです。金額が妥当か、回収できそうかは重要な確認ですが、投資の失敗は金額だけで起きません。タイミングと資金配分の設計で起きます。

投資で資金繰りが苦しくなる典型は、手元資金が薄い状態で実行してしまうケースです。投資をすると現金が減ります。現金が減るだけならまだ管理しやすいのですが、同時に減価償却費、保守費用、人件費、リース料、運転資金といった周辺コストも積み重なります。資金の減り方が想定より速くなるのは、この周辺コストを見落としているケースがほとんどです。

投資判断を整理するうえで、投資を三つに分けて考えると判断がしやすくなります。

一つ目は守りの投資です。設備の更新、安全対策、法令対応など、事業継続のために避けにくい投資です。避けにくい分、資金配分を先に確保する意識が重要になります。

二つ目は効率化の投資です。コスト削減や生産性向上を目的とするもので、人の手を減らす、作業時間を短縮する、ミスを減らすといった投資が該当します。回収の筋道が立てやすい一方、導入から効果が出るまでの時間差が生じやすい特徴があります。

三つ目は成長の投資です。人員増、広告、新規出店、新商品開発など、売上拡大を狙う投資です。最も魅力的に見える領域ですが、回収までの時間差が大きくなりやすく、資金繰りへの負担も出やすくなります。

どの投資でも共通して確認したいのは、投資後のキャッシュポジションです。投資を実行した月とその後数か月の現金残高が、月商一か月分以上を維持できているかを資金繰り表で確認します。維持できない場合でも、投資を諦める必要はありません。投資時期の調整、支出の分割、借入の併用など、設計の問題として扱う方が現実的です。

投資は良し悪しではなく、順番で成功確率が変わります。現金の基準を守ったうえで、投資の種類と資金配分を整理する。この順番を徹底するだけで、投資が原因の資金繰り悪化は大きく減ります。

次回は、借入を使った投資をどう判断するかについてお話しします。

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